エクセル経営とは?ワークマンの成功事例に学ぶ持続可能なDXとExcel研修

エクセル経営

企業のDX成功事例として有名な株式会社ワークマンの「エクセル経営」。

「エクセル経営とは具体的になんなのか?」
「本当にExcel活用を徹底するだけで業績が向上するのか?」
「どのような研修をすれば社員がExcelを効果的に使用できるようになるのか?」

このような経営者・人事の皆様の疑問にお答えすべく、YouTubeでビジネス教育チャンネル「ユースフル」(登録者34万人)を運営する弊社Youseful(株)が、エクセル経営の具体的方法とメリットについてご紹介します。

本記事の内容の一部は、以下の書籍の内容をもとに弊社独自の視点を加える形で記載しております。

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監修者のご紹介

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長内 孝平 -Osanai Kohei-
▼経歴
・神戸大学経営学部卒
・伊藤忠商事株式会社出身
・Youseful(株)代表取締役
▼主な功績
・2021年/2022年/2023年 Microsoft社よりMicrosoft MVPに選出
(Excelの開発現場に直接フィードバックできる日本人数名の1人)
・登録者40万人超の日本最大級ビジネス教育YouTubeユースフルを運営
・10万部突破のベストセラーExcel 現場の教科書

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長内 孝平 -Youseful(株)代表
・2021年 Microsoft社よりMicrosoft MVPに選出(Excelの開発現場に直接フィードバックできる日本人数名の1人)
・登録者30万人超の日本最大級ビジネス教育YouTubeユースフルを運営
・10万部突破のベストセラーExcel 現場の教科書

目次

エクセル経営とは?

ワークマンのExcelリスキリングで脚光を浴びたDX手法:エクセル経営

2021年3月期決算では売上1000億円を超え、10期連続最高益を記録した株式会社ワークマン。今や作業服のみならずアパレル業界でもその名が轟いていますが、躍進の立役者である土屋哲雄氏(現専務取締役)が着任した頃は、作業服というニッチな市場の他にシェアを獲得できる見込みがなく、売上の伸び代に課題を抱える企業でした。

当時のワークマンにとって、新規市場を開拓する上での最大の課題は、データ活用が全くできていなかった点でした。2012年にワークマンに入社した土屋氏は、在庫管理すら正確に行われておらずスーパーバイザー(店舗オーナーに対して経営指導を行う本部職員)が店舗を回って商品を手数えしていたことに驚きを隠せなかったといいます。

作業服市場より変化の速い新規市場で競合他社に負けないためには、現場のトレンドを見逃さず市場に合わせて柔軟に変わっていくことが必要だと考えた土屋氏は、Excelを用いた現場のDXに踏み切りました。

それから約10年、ワークマンは見事新規市場の開拓に成功しました。SNSでもトレンド入りした「#ワークマン女子」を展開する新業態のWORKMAN Plus+(*2)がヒットし、アパレル業界においても確固たる地位を築き上げました。

*2:「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」をコンセプトにした、アウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店

ワークマンプラス (WORKMAN Plus) | ワークマン公式オンラインストア

エクセル経営とは、全社員が日常的にデータをもとに数字を改善し、合理的かつスピーディーに経営戦略を実行する仕組み

データを用いた合理的判断を現場レベルで可能にするエクセル経営。この強力な企業文化を成り立たせる条件が、

  • 全社員がデータを活用していること
  • データを根拠とした定量判断が行われていること

の2点です。下の図では、縦軸「データ活用人数」、横軸「意思決定の基準」として、企業におけるExcel活用の状態を4つの段階に分類しています。

下図で自社がどのセグメントに分類されるのかをご確認いただき、レベル4の「エクセル経営」に到達していない場合は、後述するエクセル経営の具体的手法をご参照いただければ幸いです。

企業のDXレベル4段階

エクセル経営とは、全社員がExcelを用いて定量判断をできている状態
スクロールできます
DXレベル名称状態
レベル1神頼み
カリスマ経営
データ活用が行われておらず、経験と勘に頼った経営判断が下されるため、変化への対応力と成功の再現性に乏しい。
レベル2意思決定が遅い
民主主義経営
データ収集は行われるが、意思決定に影響を与える深いレベルでの分析はできず、時間をかけた結果ありきたりな結論にしか到達しない。
レベル3幹部任せの
軍隊経営
データ活用に長けているのが一部の専門人材のみであるため、意思決定のブラックボックス化や、現場で活用できない机上の空論的な分析が行われる危険がある。
レベル4再現性の高い
エクセル経営
データ活用が文化として根付いており、数字に基づく合理的決定が現場を含め社内の各所で、実務に変化を与える深いレベルで行われているため、市場の変化にアジャイルに対応できている。

「Excel力」は令和の経営課題である

変化の速い令和のビジネスで勝つためには、上意下達ではなくボトムアップが重要

令和の時代になり、デジタルテクノロジー(AI/IoT/クラウド)の発展により新しい商品やビジネスモデルが次々と登場しています。クラウドの発達によるハードメモリ機器の需要激減、SaaS台頭に伴うサブスクリプションモデルの普及による高額買い切りサービスの衰退など、高い市場シェアを誇っていたサービスですらその地位を守り続けることは難しい市場環境となっています。

こういった状況において、継続的成長を遂げるには市場に最も近くユーザーのニーズを吸い上げることができる現場起点でのボトムアップ型のPDCAが不可欠です。

ボトムアップ型組織は、従来の上意下達型組織と比較して、2つのメリットがあります。

ボトムアップ型組織のメリット①:アジャイルにPDCAを実行できる

現場で行われた仮説検証をもとにある程度の意思決定までを完結できる体制があると、稟議・承認といったコミュニケーションコストが削減されるため、競合に後れを取ることなく対応策を講じることが可能です。

ボトムアップ型組織のメリット②:多様な意見を拾うことで市場の変化に対応できる

いかに資金力のある大企業であってもユーザーのニーズが無いところへビジネスを仕掛けると成功確率は著しく低いものとなります。ましてや、資金力や知名度で劣る中小企業やベンチャー企業は、より的確にユーザーニーズを捉えたサービスを展開する必要があります。ユーザーに最も近い現場からの示唆やデータを上位の戦略に反映させることができれば、ニーズの薄れたサービスを改善したり、まだ競合が参入していない市場に切り込むことが可能です。

部下が上司を説得するには”数字”を活用するしかない

ボトムアップ型組織に変革するうえで最大の障壁は、メンバー間の上下関係です。いくら「風通しを良くする」とスローガンを掲げたところで、上意下達でやってきた組織において、部下が上司に意見したり、上司が自らの判断を変えることは容易ではありません。

こういった課題は、社内コミュニケーションの共通言語を数字(=ロジック)にすることで解決が可能です。部下の意見も上司の判断も、持ち出す数字の適切さや数字への解釈を軸に行われるので、感情的な対立を生じにくくする効果があります。
ワークマンでエクセル経営を推進した土屋氏も書籍『ワークマン式「しない経営」』の中でこのように語り、経験と勘よりデータを重視する風土を浸透させることの重要性について言及しています。

行動原則にデータが置かれていれば、過去のやり方を否定したり、人格を否定したりすることにはならない。

ワークマン式「しない経営」

数字で語る文化が社員を育てる

「数字で考える」ことのメリットは、社内コミュニケーションの質(下図「説得する力」)を高めるだけではありません。上司や社外へのコミュニケーションの根底に数字が加わることで、

  • 恣意的な解釈ではなく、事実に基づいて問題解決できる(変革する力)
  • 投資に対する利益率(ROI:Return On Investment)を意識して行動できる(儲ける力)

が身につき、社内メンバーは「利益をもたらす自走人材」へと進化を遂げます。

Excel力を磨くことによる社員育成効果

エクセル経営
エクセル経営は、Excel力の向上に留まらず貴社社員のポテンシャルを極大化し、高業績企業への進化を可能にします。

持続可能なDXの最適手段としてのExcel

一般的にDXと聞くとBI(Bussiness Intelligence)*3やAI(人工知能)といった高性能・高コストのツールが連想されますが、こういったツールは、DXの社内普及率と持続性に問題を抱えることが多いです。高性能ツールを使いこなせる人材が社内で不足したり、コストがかさんで長期的な利用が難しかったりと「持続可能なDX」という観点から適切でない可能性が高いです。

*3:BIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業の各部署がそれぞれに蓄積している膨大なデータを、収集・蓄積・分析・加工し、経営戦略のための意志決定を支援すること

BIツールを完全解説〜ビジネス・インテリジェンスの概要・他システムとの違い・機能・メリット・デメリット・選び方〜

Excelであれば、ほとんどの企業で既に導入されており、社員にとってもなじみのツールであるため、コスト・使用ハードルの両面において強みがあると言えます。
一方で、このように考える方も多いのも事実です。

「ExcelでDXに必要な機能が備わっているのか?」

あまりに身近なツールのためそのポテンシャルが軽視されがちなExcelですが、分析におけるカスタマイズ性の高さや新機能が次々実装されることを考慮すると、よほど高度なデータ業務でない限り幅広く対応が可能です。

例えば、Excel 2010以降で使用できるパワークエリ機能。VBAを使うことなく別ファイルに散らばった年度別の売上データを一つのテーブルに統合することが可能です。さらに、フォルダ内に新年度のExcelファイルを格納するだけで、テーブルの数値を更新することが可能なので、毎年(あるいは毎月、毎週)行う作業を自動化できます。

10分でPower Queryの具体的な使用イメージを解説しています

エクセル経営を企業文化として定着させるには?

Excel活用を定着させるには、実務経験者から適切な内容を学ぶことが大切

DXツールとして有用なExcelですが、全社員が継続的に活用するようになるには、適切な方法で研修を実施する必要があります。

実務経験者から学ぶ

まず大切なのが講師の選定基準です。「Excelスキルが高いか」だけではなく、「Excelをビジネスシーンで活用した実績があるか」という基準も考慮するのがよいでしょう。データ分析の最重要ポイントは、数字をもとにどう判断するか、でありExcelを上手に使うことではありません。Excelでデータを出したその先のシーンまでイメージできる講師に依頼しなければ、「Excel資格は取得したが、現場で使えない」という事態になりかねません。研修会社に外注する際も、資格試験の専門講師よりは、企業でExcel実務経験がある講師に依頼するのが良いでしょう。

伊藤忠商事経理部出身のExcel実務のプロ、長内孝平が監修する「ユースフルのExcel法人研修」はこちらからご確認できます。また、長内はマイクロソフト本社公認のテクノロジーの専門家の称号である「2022 Microsoft MVP」を受賞しているため、弊社研修ではビジネス視点で役立つExcelの最先端知識をお届けすることが可能です。

適切な内容を学ぶ

次に大切なのが、日々の業務で活用できる知識”だけ”をインプットすることです。多機能なExcelについて、教科書の端から端まで覚えるように学習するのは効率的とは言えません。実務直結の学習分野として、ユースフルがおすすめするのは「ピボットテーブル」です。ピボットテーブルは、エクセル経営の肝となる「データベース分析術」で必須の領域でありながら、使いこなせる人が少ないです。

まず、下に掲載する一つ目の動画でデータベースの概念を押さえていただいたうえで、二つ目のピボットテーブルの動画をご覧ください。在庫管理や営業成績管理など、貴社の業務のさまざまなシーンで効率化を実現し、より「人にしかできない仕事」に注力することが可能になります。

データベースの概念

ピボットテーブル

数字で語る文化を作るには、経営者や意思決定者がExcelを使えなければならない

ここまでご説明したような「エクセル経営」浸透の方法を行ったとしても、全社員が日常的にExcelを用いて仮説検証を行う状態をつくるのは簡単ではありません。経営者・マネジメント層がExcelのポテンシャルを理解して、文字通り企業文化を変えていく決意と実行力が必要です。

そのためには、まずは経営者自身がExcelについて学習し、部下が持ってきた数字の根拠や算出仮定を理解できる必要があります。ここまでExcelを用いたDXのインパクトについて説明してきましたが、Excelによって算出される数字もまた経営判断の手段にすぎません。

「数値に恣意的な要素はないか」
「数値から得られる示唆は妥当なものか」

そういったポイントを見落とさず自社を成長させる判断を下すには、Excelの仕組みへの理解は必要不可欠です。
「明日から使える知識だけを効率的に知っておきたい」という方はぜひこちらの動画をご確認ください。タイトルの通り「たった1動画」でビジネスシーンで必須のExcel基礎知識を網羅することができます。総視聴回数は1,100万回を超え多くのビジネスパーソンの方にご支持いただいております。

「エクセル経営」導入におすすめ:ユースフルの法人研修

Excelを用いて、全社員が継続的に経営戦略を実行できる「エクセル経営」。持続可能なDXを実現するための最適ツールであるExcelの活用は、貴社のあらゆる部署で合理的かつスピーディな意思決定を可能にします。

「Excel活用にメリットを感じるが、具体的な施策・研修のイメージがわかない」
「社内でExcelに知見のある人間がいなくて困っている」

という経営者・DX担当の皆様は、ぜひ弊社ユースフルのExcel法人研修をご確認ください。コクヨ株式会社様・アサヒ飲料労働組合様をはじめ、業界を問わず大手から中小企業まで幅広い研修実績をもつ弊社が、まずは無料相談で具体的なご提案をさせていただきます。

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