ワークマン土屋専務にスペシャルインタビュー!ワークマンを過去最高業績に導いたエクセル経営とは?

ワークマン土屋哲雄のエクセル経営

今回は株式会社ワークマンの取締役で『売り上げ2.6倍で業績過去最高!ワークマン式エクセル』の著者である土屋専務にインタビューを実施しました。エクセルを活かしてどのように成果が上がる組織を作ったのか、エクセル経営という観点でお話いただきました。

「成果を出す組織作り」、「社員のスキル教育」といった点にお悩みの企業の人事・研修担当者・経営者の方必見の組織論盛りだくさんのインタビューなので最後までぜひチェックしてくださいね!

※本記事はYouTubeユースフル / スキルの教科書』チャンネルより、以下の動画を記事にまとめたものです。動画でご覧になりたい方は、こちら↓をクリックしてください。

土屋専務

ゲストプロフィール

土屋哲雄さん
東京大学経済学部卒
三井物産入社後、海外留学を経て三井物産デジタル社長に就任
本社経営企画室次長、三井情報取締役
2012年ワークマン入社。
19年に同社専務取締役、22年7月に東北大学特任教授に就任

聞き手プロフィール

長内 孝平
Excel研修講師・Youseful(株)代表取締役
米ワシントン大学留学、神戸大学経営学部卒
新卒で伊藤忠商事株式会社に入社。会計・税務を専門にトレード・投資案件のプロジェクトに従事。2018年7月に同社を退職後、Youseful株式会社を創業。ビジネスの勘所を理解した動画教育のプロフェッショナル。
▼主な功績
2021年/2022年の2年連続でMicrosoft社よりMicrosoft MVPを受賞
10万部突破ベストセラー「できるYouTuber式 Excel 現場の教科書」著者

聞き手プロフィール

大垣 凜太郎
Excel・PowerPoint・Word研修講師
慶応義塾大学大学院法務研究科、東京大学大学院工学研究科修了
新卒で一般社団法人JTIの専務執行役員として、法務・経営企画を担当。

法人対応における統括責任を務め、ビジネス現場におけるMicrosoft Officeツールの利活用を熟知したプロフェッショナル。

目次

ワークマン土屋専務の経歴

長内

今回は作業服を着ておりますけれども(笑)

大垣

普段は絶対着ない服だもんね。

インタビューキャプチャ①
長内

僕は青森のリンゴ農家の孫ですので、こういう服を着て育っております。

大垣

おささん自身も着てたの!?

長内

秋の収穫でこういうの着ておりましたよ(笑)
実は作業服を着ているのは今回のゲストと関係があるからなんですよね。

今回のスペシャルゲストは、株式会社ワークマンの土屋専務でございます!

2022年11月に出版された書籍『ワークマン式エクセル』の書籍の中にも書いてあるのですが、どのように人を育てて成果の出る組織に変えていったのかというテーマを話すのにこの上ないスペシャルゲストです!

本日はお時間いただきありがとうございます。
まずは土屋さんの自己紹介をお願いします。

土屋専務

私は元々総合商社にいまして、定年ちょっと前にワークマンに入社しました。入社したとき、「この会社は今は絶好調だけど10年先もこの好調が続くのかな」と思いました。作業服の市場規模って1,000店舗1,000億で終わりなんですよ。当時700億700店舗までいってましたから、あと300店舗なわけですよね。そうするとやはり何か変えなければいけませんでした。

ただ入社2年はそのことに気付かなかったんですけどね。だんだんマーケット環境を意識するようになると、成長の限界といいますか、市場の取り尽くしが見えて来たんですよね。「何とかしなきゃいかん」ということで改革を始めました。

インタビューキャプチャ②
長内

前職は三井物産で、最後は情報分野に携わっていらっしゃったんですよね。そういったキャリアを積まれてワークマンに入社して、ものすごい成長曲線を描いたという輝かしいご経歴ですよね。

経営者は凡人が良い!

大垣

ワークマンの急成長の立役者が土屋専務ということですね。書籍『ワークマン式エクセル』の中で見られるように、Excelを用いた組織改革「エクセル経営」を中期経営計画まで落とし込むところまでやられたのが、人を育てるという観点で非常に重要でした。また、もう一つの土屋専務の著書『しない経営』の中で「凡人でも経営が出来る仕組みを作る」という経営コンセプトも印象的だったのですが、そこに辿り着かれた経緯はどのようなものでしたか?

土屋専務

私は「経営者は凡人だ。私の言うことは50%は間違いだ」と社員に言っているんです。だからうちの社員がやることは全部自己責任です。「上が言ったから」という理由でやっちゃいけないんです。

インタビューキャプチャ③
土屋専務

社員一人一人が自分で仮説を立てて少しずつ実践し、データをエクセルで分析して正しいと思ったら本気で走る。そうすると自分の頭で考えるようになります。

経営者は凡人が良いと思うんですよね。創業者は優秀でも、大体2代3代と社長は替わっていきます。なので、凡人でも100年の競争優位を保てる仕組みというのを目指しています。経営者は凡人で、社員はちょっとエクセルが弄れてちょっと経営者より優秀というのがちょうど良いバランスかなと思っています。

新しいツールではなく、エクセルを深堀りすることが成功のカギ

大垣

三井物産でデジタルの分野を極められた方なので、ワークマンでもDXツールを入れて、前職の知識を活かした経営をするのが一番簡単だったと思うのですが、それをあえてしなかったのはなぜでしょうか?

土屋専務

私はツールを売る側にいましたから、よく訴求されるDXツールのメリットは営業トークだというのが分かっていました。なんでもブームに乗って焚きつけるんです。どんなマイナーなツールでも日経新聞にセミナー広告を出して、私がメインスピーカーで喋って大学の先生を連れてくると盛り上がるんですよ。その中で何件か契約取れるんですね。

私からするとそういう飛び道具じゃなくて、地に足の着いたツールがエクセルだったんです。我々はM&Aもしないし、幹部の中途採用もしないし、分析のエキスパートを採用するわけでもない。全部オーガニックなんですよ。オーガニック成長しかしない会社ですから、その中で最適なツールがエクセルなんですよね。私は、「愚直に深掘りする」という言葉が好きです。商社って横に広げてしまうんですよね。私も商社時代は、全然関係ない業界を6つぐらい担当してきましたから、飽きちゃうんですよ。ワークマンは作業服について42年間圧倒的に深掘りしています。そういうオーガニックなところに合うのがエクセルでした。

大垣

でもエクセル1本で行くというのを経営戦略に明記するのは結構おおごとだと思うんですよ。1つのツールにすぎないものを経営と紐づけるというのは、誰も考えたことがなかったことだと思いますが、エクセルにはどんな思いが込められていたのでしょうか?

土屋専務

ツールを使う側が重要だと分かっていましたから、使う人を一流にする、ということを意識していました。最悪、エクセルを使い倒した結果、物足りなくなったら新ツールを導入しようと思ってました。けれどずっとエクセルを使っています。エクセルにデータを卸す分析の前工程も同様です。トランザクションデータをまとめてエクセルに落とす分析系のソフトもずっと変えるつもりだったんですけどもう10年使ってます。つまり新しいものよりも今あるツールを使い倒した方が良いと思ったんです。ワークマンは愚直に深堀りする会社ですから。

インタビューキャプチャ④

エクセルを共通言語にしてみんなで考える

長内

それこそ我々のチャンネル(YouTubeチャンネル登録36万人のユースフル/スキルの図書館)の視聴者の方から、
「ワークマンさんみたいに組織改革したい」
「ワークマンの書籍を参考にして色々真似ているんだけどなかなか上手くいかない」
という声をよく頂きます。皆さん2016年ぐらいから4, 5年かけて社員教育として、AI・DX・RPAなどのいろんなバズワードに引っ張られて研修を組んだけど、結局、成果につながらないという悩みを抱えておりました。そこでエクセルとかMicrosoft Officeに、原点回帰されてるのかなと。
そしてこの著書の影響力たるや、本当にそれが今の時代に求められているからなのだと感じます。その中でどういった組織の構造にするとワークマンさんみたいに上手くいくのか、もしくはこういう風にやると失敗するかも、というのがあれば教えてほしいです。

土屋専務

私が入社した時、ワークマンは作業服の分野では圧倒的1位でした。でも次の業態に行かなければいけないというときに第2のブルーオーシャンに行くのはとても難しいんです。今までの長所がマイナスになりうることがありますから。だから違う仕掛けを考える必要がありました。

土屋専務

エクセル経営はこの文脈でいう「違う仕掛け」という訳です。もともとデータ自体が無かった会社で、店舗の在庫の金額データはありましたが、数量データはありませんでした。SV(スーパーバイザー)が巡回して重点商品がいくつあるか目で数えて来る、そんな超アナログな仕事をしていたんです。これはちゃんとベーシックなシステム作りをする必要があると感じました。

そしてただシステムを作ることを目標にするのではなく、みんなが現場で考えるような仕組みを作りました。エクセル経営というのは、単なるITツールのノウハウではなく組織論だと思っています。変化に対応できる組織作りというのがエクセル経営の組織です。当時32年間作業服をやってきて圧倒的No.1の状態から、全く違う原理で第2のブルーオーシャンを作る。それをやるために変化に対して自然と対応できちゃう、そんな組織を作るための道具がエクセルだったんです。

大垣

エクセルを全員にしっかり学んでほしい、というのは他の会社も思ってはいるけど中々上手くいかないですよね。例えばエクセルを学習する際、初級者用と中級者用にコースを分けていろいろやってみたりするけれども、結局やる人はやるけどやらない人はやらない。そんな中、ワークマンさんではエクセル経営が長く続いていますよね。仕組み作りのところで当初から大事にしていることはあるのでしょうか?

土屋専務

“広く浅く”でいいと思ったんです。エクセルを社内の共通言語にしてみんなで考えて、実験をして検証もする、経営の共通言語がエクセルなんです。それぞれのデータが最後はエクセルに集まってみんながわかるような形で整理され、データとして持ち寄って吟味する、これがエクセル経営の本質です。

例えば今みたいなアフターコロナで「アウトドアは一過性のブームで終わるのか」「都会に来なくなったらみんな田舎に行くのか」などのブームを見極めるのが数字なんです。データを見てみんなで議論するんです。こういった重要な判断を昔はですね、上が「俺の命令聞け」みたいな指示をしていたんですよ。これでは社員が育たないと思いまして、上が100%正しいというのはありえなくて上も間違えますからね。上の人間は作業服のことは大体わかっていて知識があっても、今は女性向けウェアとかやってますから、そんなの分かるわけなくて。

インタビューキャプチャ⑤
土屋専務

キャンプ用品もネット限定販売で40億円売り上げたんですけど、その担当者はキャンプには5回しか行ったことがない。そんな人でもデータで経営できたんですよ。例えば第1弾で販売する商品を1000個作って、それがどのくらいの時間で売れたか、ネットでどういう売れ行きになったか、というのを見て、セカンドロットをどうするか考えるんです。我々の商品の寿命(商品ライフサイクル)は5年間なんですが、1年目は少しだけ作るんです。統計的にどう売れたかを見て、2年目からは大体±15%ぐらいで作っていきます。

エクセル経営に会社の仕組みが合うようにしています。だから分析しやすいように特売はしないわけです。特売すると外れ値が入って分析できませんから。ワークマンは「しない経営」と「エクセル経営」の両輪で回しているのが実態です。でもそれが極めてシンプルなわけです。エクセルをちょっと勉強すれば良いわけですから。そしてエクセルも簡単な教育から始めてます。簡単な計算や関数とかから始めているので試験をやるとみんな90点以上取ります。

大垣

それはあえてそうされているんですか?

土屋専務

初めて実施した試験は忘れもしない、平均点が56点でした。私は講師の人に「あなた(講師)が満足しているだけであって試験を受けた人は満足してない。みんな30点、40点だと不安を感じる」と怒ったことがあります。ちょっとした記憶力があれば100点取れるものでいいんだと。講義を聞いていれば点数が取れるレベルで良いと。逆にそっちの方が自信がついてみんな頑張りだすんです。自分が得意だと思ったら本当に得意になるんですよ。

ワーク・イン・ライフな組織をエクセル経営でつくる

長内

土屋さんの人に対する投資・組織に対する投資の流儀を垣間見ることができました。ワークマンさんは、中途でエクセルが出来る人を採用するのではなくゼロから育て上げるという思想をお持ちですよね。我々のチャンネルに寄せられる視聴者の声に、「あるべき教育の姿・姿勢って一体何ぞや?」というのがあるのですが、土屋さんとしてその辺はどうお考えですか?

土屋専務

社員教育が上手くいかないのは、目線が高すぎるからなんです。私は予想を低く設定しているので大体予想を上回る働きをみんなしてくれます。こっちも予想を上回って気分が良いし、やってる人を褒めますから、褒められた社員はもっと力が伸びる。

ウチはノルマや期限が無い会社なんですよ。残業してはいけないゆるい会社なんです。でも自分で走るのは良いのです。分析好きな社員達は子供が寝た後に自主的に分析してるから、仕事か遊びかわからない、みたいな人が多いんですよ。それはそれで良いんです。ワーク・ライフ・バランスみたいにワークと遊びを分けちゃいけなくて、ワーク・イン・ライフだと思っています。生活の中に仕事があると楽しいですよね。8時間だけ仕事してあとは楽しむ、だと辛いですよね。ワーク・イン・ライフになるようなシステムをエクセル経営で作り、あとは商品を作る人が勝手に作るんです。

大垣

勝手にですか?

土屋専務

キャンプギアをキャンプに5回しか行ってない担当者が勝手に作るんですよ。上は意見を言ってはいけないんです。意見を言うとロクなものが出来ない。(上が)優秀ならいいですけどね。私の意見は50%は間違っていますけど、担当者は8割ぐらい正しい意見なんですね。意見が当たる確率を下げてはいけない。ただ本当に当たっているかどうかは分からないのでデータで検証したり、外部の知恵を借りたりします。

我々はユーチューバーさんやインスタグラマーさんに製品開発に参加してもらい、100%言われた通りに製品を作ります。キャンプ用品の売上の40億は全てそれで作りました。こちらの意見は一つも入ってないんです。そしたら結構売れるんですよね。それはデータで検証されているんです。うちの製品の3分の1がアンバサダー製品でもうすぐ半分ぐらいになりそうです。とはいえ、半分以上にすると主体性がなくなっちゃいますからその辺の割合は気をつけています。

大垣

エクセルの教育にしてもまず視座を高めすぎない、「これなら社員みんなができる」というものにしっかりフォーカスして、みんなができるようになったらそれを当然だと思わずしっかり褒めてあげる。そこを徹底してやるというのがエクセルを経営に定着させる上ではとても大切そうですね。

1つのことにフォーカスする

土屋専務

日本の会社は真面目な人が多いので、あれもこれもやろうとするんです。でも一個を捨てて本当に重要なことをやるんです。例えばほとんどの商品が輸入品ですから、円安になっているときに増収増益を目指してはダメなんです。まずは増収だけを目指す。減益はできるだけ止めようぐらいで良いのです。増収増益の2つやろうとするから出来なくなって、たぶん減収減益になってしまいます。値段が上がると売上が減って、利益も減るので。我々は2つあったらあれもこれもではなく1個にフォーカスします。

インタビューキャプチャ⑥
土屋専務

1つのことにフォーカスする他の例を挙げると、「突出した人材が重要か?全体の底上げが重要か?」だと全体の底上げなんですよね。だからエクセル経営なんですよ。やはり特殊なツールや新しいプログラミング言語を取り入れても一部の人しかできないですし。凡人経営でみんなで知恵を集めた方が1人2人突出した人材がいるよりも全体のパワーが溢れると思っています。良い社長も5年10年経営をやっていると会社の成長は落ちていきますよね。よく後継者に社長を譲ってそのあともう一回復活する経営者がいますけど、それは天才経営者なんですよ。でもそれは本当に100年続きますか?私は凡人で、余人をもって替えられるような経営者だから会社が長期的に伸びるんです。

ワークマン式エクセルの第3章に7つ実例を挙げているんですけど、その内の3つぐらいで実は経営できてしまうんですよ。7つのうち一番使っているのが「寄与度分析ツール」(*2)です。寄与度分析で、何が寄与して成長したかが分かったらそれを伸ばせば良いわけです。成長しないものをやめて成長するものにみんなで取り組むのです。

*2:どの要素が売上に貢献したのか分析するツール

土屋専務

それから「機会損失発見ツール」。エクセル研修を5回受けた人が作ったものです。文系で大学でもエクセルに触ったことがないという人が5~6回もエクセル研修を受けたのでそのことを褒めたんですよ。そしたら機会損失発見ツールを作ってきて。エクセルで店舗No.を入れると、その店舗には無いけど他店で売れ筋の商品の上位30位くらい分かるというものです。店長にそれを見せるだけで、顔を青くしてすぐに発注します。エクセルは加工の無い生データなので、店長が見て自分が間違っていたと分かりその場で発注をかけるのです。売上も上がるし、お客さんにとっても欠品が少なくなって良いし、SVの残業も減ります。

機会損失発見ツールを導入する前はSVが在庫を数えていたんです。製品の在庫が何個あるか数えてきて毎週発表してたんですよ。私が入社して最初にそれを聞いたときびっくりしましたね。けれどもそれを否定しちゃいけない。じっくり取り組もうと思いました。深堀りの会社で社員全体の能力が高いので、新しいツールを入れることなく、エクセルで解決しました。

自走型の社員にまかせる「しない経営」

長内

組織の底上げをするにあたって、「自分が頑張ってエクセルを身につけた先に良いことが待っているのか」が社員のモチベーションが上がるかどうかの肝な気がして、そこの仕組みを作られたということですよね。

土屋専務

給料や肩書といったニンジンをぶら下げて走らせたとしても、それはニンジンが食べたいから走るのであって仕事が面白いから走るわけじゃない。そうではなくて自らコミットするようになると社内の雰囲気が変わっていくんです。

あとエクセル経営を始める前は少し社内に閉塞感がありました。でも作業服以外もやってもいいと言うとみんな走り出したんですね。そしてエクセルで自分で分析して失敗を見つけてもらってます。「失敗するのはいい」、その失敗を自分でデータで発見する。失敗をみんなで共有することは成功するのと同じくらい貴重なんです。その失敗はもうしなくて済むので。

土屋専務

私は、いろいろな情シス子会社や関係会社など、訪問した上場会社が500ぐらいあるので、社外の状況もいろいろ知っています。いろいろな会社を見てきたなかで、一番重要なのはベーシックなことであり、会社の力ってのは薄く広く浸透していることが大切だと気が付きました。

我々はレポートのための分析は禁止しています。上司はデータが欲しかったらエクセルを勉強して自分でデータを取りに行けと。だから社長が入社1、2年目に混ざって何回も研修を受けたんですよ。「〇〇君レポート作っておいて」というのは生産性がないから禁止です。他人のための分析は意欲が湧かないんですよ。「自分でやった感」が出るということが、働いてる側として一番の楽しみなんですね。

インタビューキャプチャ⑦
大垣

自由にやっていいというのは、四方八方に社員が走りつつも、エクセルを使ってデータでしっかり進んでいいかどうかを自分で判断しなさいということなんですね。

土屋専務

そうですね。走りたい人は自分で走るという経営なので。ただむやみやたらに走るとどこに行くか分からないので、そこでエクセル経営が役に立つのです。走れる人はデータ分析が得意ではないことが多いので、全員が早い段階で危ないかどうか、分かるような能力を身につけてもらってます。

大垣

エクセルを使って社員にどんどんチャレンジさせていくということですね。

土屋専務

社員はかなり自由に動けるといいますか、走っている人に「やめろ」とはあまり言えないですからね。明後日の方向に走っているときはさすがに言いますけど(笑)
現在取り入れている社内のデータ分析の資格制度もデータ分析の名人が提案してきて、私が「良いんじゃないの」と言ってそのまま資格制度になりました。本当は用語を直したかったんですけど直さない方がいいだろうと、その人が自分で考えた背景があるはずだから。とにかくプレッシャーをかけない。期限やノルマとかは課さないで自由にやってもらって、良いものは社内の制度に取り上げていくんです。

土屋専務

昔は優秀な創業者がいて、社員に命令して実行せよというトップダウンのスタイルでした。それだと創業者がいる内はいいんですけど、創業者はいずれ引退しちゃいますから。そのスタイルを変えて、自走型の社員というスタイルにしました。エクセルの良い点は自分で使えて自分で結論が簡単に出せる点。あと創意工夫によっていろいろ便利なツールを作れる点です。会社が公認したやつだけでなく、個人や部署で使っている地下ツール(非公認ツール)が実は沢山あるんです。会社が公認するとデータベース側に組み込まれます。優秀なソフトは定型分析の方に入れて、あとは皆が各々ツールを作っています。その中で良いモノがあればまた定型分析の中に昇格するという感じですね。

インタビューキャプチャ8
長内

ボトムアップ型の自走人材を育てるという気概をもって「しない経営」に突っ走られた土屋さんならではのエピソードですね。

YouTubeで教育コンテンツを発信している我々が感じている人材教育の潮流の変化をお伝えさせてください。これまでの時代は川上・川中・川下のバリューチェーン全てを押さえて教育コンテンツをエンドユーザーに提供するという時代でした。それがYouTubeの台頭・テクノロジーの台頭で一気に消費者が川上のコンテンツに無料でアクセスできる時代が来たと。この時に企業の研修スタイル然り個人の学習スタイル然り、自分で学びに来る人たちはすごく成長していく一方でそれをやらない人、それに気付いていない人はどんどん個人のスキルギャップが生まれていると思っています。

企業の人事責任者の方がこのギャップをどうやって埋めようか、YouTubeに上がっている良質なコンテンツを使ってコスパ良く組織の変革が出来ないのか、そういったところに焦点が当たり始めた気がします。動画を用いた教育や書籍を通じた社員への浸透など、様々な人材投資や教育のやり方があり得るんだろうなと思います。

土屋専務

YouTubeが出来て、いろいろな勉強が簡単に出来るようになりましたよね。私も昔はググっていたんですけど最近は動画を検索しています。動画検索してまずそこで学ぶ、ちょっと分かってきたら本を買う、人に聞きに行くというような学習の流れになってますね。

長内

やはり教育業界が変わりつつある中で、我々としてもワークマンさんの事例を勉強させていただきながらいろいろなコンテンツを今後も展開して参りたいと思います。

本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

まとめ

今回はワークマンの土屋専務に、エクセルを活かした組織論・経営論を伺いました。
エクセルという1つのツールを極め、「しない経営」で社員を自走させ、自分たちでエクセルで分析し改善をしていく、ワークマン式の経営を学ぶことができました。

この記事を読んだ人事の方、研修担当の方もぜひエクセル研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ユースフルのエクセル法人研修では無料相談を行っています。Excelのビジネス活用に精通した専任のスタッフが研修の目的・背景から丁寧にお伺いしますので、実施が決まっていなくてもお気軽にご相談ください。

気に入ったらシェア!
  • URLをコピーしました!
目次